all everything

何度も書き直す。

仕事で使う機械がうるさい。雨とみぞれが混じって最も寒い時期がやってきた。かじかんだ手で熊手を握る。水たまりに溜まった落ち葉を回収するため水に踏み入って靴下がダメになった。イラストレーターのパスの練習台にぴったりなフォルムのアカナラの葉が鳥みたいに舞った。たくさん見ていると気持ち悪い形をしている。土埃と泥よごれが顔に跳ね返り舌打ちをした。愛知県の東横インの美しいベッドとは対極のシチュエーションだ。まあその美しくて広いベッドもDHCのアメニティのことを思い出したらがっかりするんだが。というか見て見ぬ振りしたけどよくわからん宗教の本もあったし。

 

愛知県にいってきたことを書く。出発当日にやる気の出ない荷造りを中途覚醒のついでにこなし(だいたいいつもそんな感じだ。楽しみにしているのに行動が伴わない)、「今日飛行機だから絶対定時に帰る!!!」と言いながら仕事をこなし、家のことを何もしないで出発して、飛行機に乗って夜景を眺めながら着陸して、動く歩道の上を小走りし、飛行機から降りてわずか10分後に発射するミュースカイのチケットを買ってかけこみ(スイカを入れるってわからなくて乗り逃すところだった)、電車の席に座ってからようやく遠くまできたもんだとぼさっとした。予想通り植物が目に入る。造園の仕事を始めてから道外に出るのは初めてだ。街の作り方を知るひとつの指標としてとても面白いチャンネルを手に入れたなと思った。変なモニュメントを拝まずともトンチキな飯が口に合わなかったとしても、植物さえ知っていればどこの散歩もおもしろいんだとおもう。チェックインしたあとに知らん街を夜な夜な歩いた。宿泊した街の大きな街路樹はニワウルシだった。大きくて立派だけど商業めいていて面白いスポットを見つけるのは難しい街だった。北海道の空気をまだ纏っている感覚は電車に乗っているうちはあったけれど、一晩眠ったらなくなってしまった。

 

朝食はまずい。長く生きていると冷凍食品かどうかすぐわかってしまうのがよくない。いや無料のメシになにか期待することの方がおかしいのだが…

レンタルサイクルをするか直前まで迷ったが結局思ったより寒いからやめた。誰にもあわない一人旅だったらレンタルサイクルを借りて目的地まで行っていたと思う。気象庁の発表する数字を見てこれくらいかな?と服装をえらぶと微妙にさむい。おそらく北海道が案外暖かいと言われるのに関係がある気がする。道外は風が冷たい。外に出て街路樹を間近でみた。クスノキを始めてみた。ヒトツバタゴ。ナンキンハゼ。フウ。アロエが道端にうわっている。キンカンも。知っているふうに書くけれど全て写真を撮ったら診断してくれるアプリのおかげだ。曲がりくねったレイアウトになるように生垣が植樹されている。除雪という概念がないとこんなにまちづくりは自由なんだな。

白鳥庭園にいった。愛知の地下鉄のレイアウトのことを考えた。20歳の時に妹の部活動の大会で愛知に来たけどチケットの関係で放り出され名古屋港水族館までイルカをみにいった記憶がある。よく自分で乗り換えできたなと思う。20歳前後になるともう記憶がないし、そんな意思決定や交通量をできる自我があったことに驚く。他の人と比べたことがないがやはり過去の記憶がやや刹那的な感じがする。

駅を降りて道の途中で古墳があるらしかった。ただの山にみえたが、はるか昔の貴族の墓があるだけで脈々とうけつがれた土地の感じを感じずにいられなかった。自分の土地はどうだろう。

白鳥庭園は大きな松の木、鯉の泳ぐ池、雪吊りをまさにしている最中の庭師をみた。ろうやがき。ツバキ。竹。アラカシのどんぐりが勝手に落ちてきてコンクリを叩く。トトロでみたどんぐりの形だ。あれはあたたかい地方の話なんだな。蝉の抜け殻を見た。スズメバチと蝶が11月に飛んでいる。11月に入っても生き物が死んでいない。こちらは雪虫ですらもうみかけない。それとナントカ川の橋をわたりきったとおもったら川にカニがいるんですよ〜ほらほら、とおじさんが近くの親子連れに話しかけていて私もちらっと見たらたしかにカニがいた。北海道の川にカニはいるんだろうか。

 

知り合ってから手紙と電話のみのやり取りだった友人に会ってきた。自分はなんだかなにかに圧倒されてそこから帰るまでずっと転校生モードだか緘黙モードだかにはいってしまい想像の半分しか口が聞けなかった。脳に血が回らなかった。おだったりイキってしまうよりは自分らしくてよかったかもしれないけれど何をしにきたんだろう。他にも反省点はあるが今は書けない。受動アスペルガーも大概にしたい。IQが20以上違うと会話が…という雑学が脳を掠めた。そうじゃない、自分が自閉症スペストラムだからだと思う。ほとんど会いたかったと言いにいっただけだった、いやzineを手渡せただけでもよしとしとこう。

一つ言えるのは少しずつ人生が変調していてフェミニズムにも会えて、本の集中力がないから未だ入口すら立っていないが間違いなく今後の支柱になるってことだ。この弾丸旅行が決まってから突貫工事的にキングコングセオリーと生きるためのフェミニズムを読んだ。文字が滑って大変だったし内容も残り香が脳にある程度だ。

知り合っていなかったらそんな本たちはおろか併設されていたパンク展も見ないしそもそも愛知の地を踏まないし、札幌で自分が誰なのかすらよくわからないままマイルドヤンキーチックに存分に自閉して理由はわからないが交友が断絶し続けておじさんにナメられることにキレながら過ごしていたと思う。知らん土地と知ってそうで知らん人らにかこまれテンパっていたからその感謝を伝えるのを忘れていたな。

帰りの飛行機と電車でamazarashiの「独白」がなんだか鳥肌が立つほど刺さってしまい具合が悪くなったのかと思ったし「夕立旅立ち」を聴きながら電車にのれば流れてゆく風景がライブ映像と重なって少し泣いた。そうかおれは楽しかったんだな。旅行中いつも知っている曲に名曲の要素を再発見して帰ってくる。

それと好きなものを好きに食べていたが体重は変わっていないどころかほんじつ測ったら66.9kgだった。はっきりいってガンガン痩せている(体脂肪率はあまり変わってない)んだが何かの病気じゃないか逆に不安になってきた。