all everything

何度も書き直す。

なぜ男の世界(これは私の言葉ではなく数年前に口説いてきたペンキ屋が言っていた)とかいう世界に入ってしまったのか自分でも疑問に思ってしまう。実際おじさんまみれだ。

 

なぜこの業界にいるかたまに考えてしまうのは、当時求職中の友人が職業選択の理由を茶をしばいてまで聞きたがったからだ。当時のボキャブラリーで精一杯説明するも納得はさせられなかったけれど、さっき何でかわかった。私にとっては加入するのに条件がいらなかったから。

勉強ができる/できない、見た目を整える/整えない、美意識や凝り性がある/ない、腕力がある/ないの振り分けを釘にぶつかって流れ落ちてゆくパチンコ玉のようにあぶれ続けてこんなところに来てしまった。

 

あぶれたからと言って馴染んだわけじゃない。酒もタバコも賭け事も人間関係もやらない風変わりなキャラクターは「出生時の性が女だから」で解決させている(それ以上は面倒なのでおじさんたちには説明しない)が、所詮は染色体できまる社会的構造からホモソーシャルの憂い目の対象外なだけで精神的な序列の圏外にいる。アスペルガーはおろかレズビアンだと大っぴらに仕事したら輪をかけてゴールデンメタルスライムのような扱いを受けるだろう。

 

それでも今日までまだ辞めずに済んでいるのはまあ人が足りないから邪険にはされないことと、この世界でやってはいけないことのシンプルさが好きだからだ。やってはいけないことをやるとやり直しになるか、次回自分が苦労するか、社会に迷惑をかけるか、モノが壊れるか、人(自分)が傷つくか最悪死ぬかのどれかしかない。とてもシンプルだ。「朝とお金が一円あわない」とか「場の空気が暗くなる」とか「人の気持ちが不快になる」だとかの物差しよりはずっとわかりがよい。

 

それとその日その日の現場を終わらせるだけならば人との交わり方の勉強がいらない世界だ。いついつからなぜ持っているかよく思い出せないけどトカゲの抜け殻みたいにずっと体に引っ付いてきたゴミのかき集めみたいなコミュニケーションパターンがあれば十分だった。それだけでは至らない人間のお作法は死んでもやりたくなくてエラーがでていたのは確かだが、仕事や人間関係が2年より続いたことがないので関係なかった。

 

おれは今それでは満足できない。

いや、やっぱり死んでもやりたくない人間のお作法にはつきあわない。二度とそれに迎合したくないし、さっき書いた精神的序列にも加えてもらわなくて結構だし、上の人がおちょくったことを取り巻きのように囃し立てることを覚えないと仕事を教えてくれない風潮を踏みにじりたい。まとわりついている脱皮したヨレヨレの皮を捨てたいし、なによりそれを仕事以外に持ち込んで当然受け入れてもらえると思っているような顔をするのもやめたい。

この自分の問題ははるか前からわかっていたことだが数年かけてようやくそこにメスを入れる準備ができたんだと思うし、その前段階のまず自分のパーソナリティを受容するのに90,000文字必要でさらにzineすらも出すハメになった。でもそうしないと足し算の前に掛け算をやるようなものだったから回り道のふりして最短ルートだったと思う。

ちゃんと前に進んでいる。ボロボロになるまで働くだけの生活じゃなく、望んだ方向に舵取りはできている。自分は今はクズだがそのうちクズではなくなるので黙ってみていろ。