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記憶にございませんというと会社のジジイが喜ぶが、マジで失言の記憶がない。不穏な空気だけは察知して乗り切ろうとするが火に油だ。

人の気持ちがわからなくて、そのくせやり込められた記憶ばかり蓄積する。他人に興味がなく唯一興味を介在するのが性欲だったらほんとうにきつい。俺は自分の性を肯定できていない。人を好きになってもよいという気持ちは10代のときに徹底的に壊されてしまった。心が折れているというフレーズを考えるとバウムテストを連想して、樹木のようにしっかり根を張って！という先輩の言葉を連想する。おれがもし根腐れしていたらどうする？

友達が少なくてよかった。傷つけた人間たちが少なくて済んでいるから。地方都市でよかった。被害が小規模だから。建設業でよかった。週6の労働に疲弊して余計なことしなくて済むから。危険な仕事でよかった。事故が起きてしまえばくたばれるかもしれないから。