all everything

何度も書き直す。

おれは特別な「ふたり」という人間の単位に縁がない。大人になってからできた友達はたいがい「ふたり」で、遊ぶときは「さんにん」になってしまう。さんにんは実のところ気を使う意味で苦手だ。もう1人を置いてけぼりにしてしまうリスクを孕んでいて、それはおれだったりもする。

積年の刷り込みにより世の中で「ふたり」が重要視され過ぎていておれはたまにしんどくなる。ひとりのおれはひととの距離感がおかしいせいですべての友達に「ぜんぶわかってほしい」をやってしまう。本音と建前の文化に中指を立ていつだってノーガードのフルコンタクトコミュニケーションを望んできたが、そんな部門の格闘技は少なくともおれの観測範囲ではこの世に存在していないらしい。

長らく本音と建前を憎んできた。けれどおれの話したい内容は世間的にタブーだったりするから、その見えない壁をぶちやぶるためにもとにかく腹を割ることを重要視していたのかもしれない。そして言いたいことを描きまくったzineをつくってからはほとんど友達と遊ばなくなった。それぞれの感想をくれたが、アイデンティティとして受け入れた障害やセクシャリティがかえって邪魔になっている感覚があって自分自身が拒絶してしまった。おれはカミングアウトがカミングアウト扱いされないような安全な場所にいきたいが、自分がおじさんたちと働いてるせいで棘のある人間に成り下がってしまい安全な人間でないことが悲しい。自分の攻撃性とホモソーシャルに親和性があるのだが、おじさんのせいにしているのも悲しい。